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vol.37

ぜひ知っておきたい! 建設プロジェクトの法律問題Q&A(その2-⑤)

2014/10/17

今回のメールマガジンは、前号に引き続き「ぜひ知っておきたい!
建設プロジェクトの法律問題」(その2)の5回目。
質問の内容は、「機壁に隠蔽された樋の腐食が原因で漏水が発生しました」ということで「設計者や施工者の瑕疵担保責任」がテーマのQに対する回答について、弁護士 釜田佳孝 先生の解説の続きをお届けいたします

解説の前提となっている質問の内容とそれに対する釜田佳孝 先生の回答は、下記URLからメールマガジンVOL.33をご参照ください。

※VOL.33の内容は、下記URLからご覧いただけます。
http://aqa-pm.co.jp/test/mimiyori/mailmagazine.cgi?33

※釜田先生にご相談する内容を募集しています。下記URLからア
ンケートにご記載の上、お送りください。
http://www.aqa-pm.co.jp/inquiry/index.cgi

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ぜひ知っておきたい! 建設プロジェクトの法律問題Q&A
【Q】機壁に隠蔽された樋の腐食が原因で漏水が発生しました⑤
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【釜田先生による解説】
1 「樋の腐食」が瑕疵なのかどうか(VOL.34にて配信済)
2 設計者の瑕疵担保責任(VOL.35にて配信済)
3 施工者の瑕疵担保責任(VOL.36にて配信済)
4 不法行為による損害賠償責任
5 コンストラクション・マネージャーによる瑕疵の回避(VOL.38にて配信予定)

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4 不法行為による損害賠償責任
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近時、最高裁判所は発注者(施主)と直接設計委託契約や工事請負契約を交わしていない建築物の所有者について、当該建築物の設計者や施工者に対する不法行為責任を認める判断を下しました。

そこでは最高裁判所は「建物の建築に携わる設計者、施工者及び工事監理者(以下、併せて「設計・施工者等」という。)は、建物の建築に当たり、契約関係にない居住者等に対する関係でも、当該建物建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負うと解するのが相当である。

そして、設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の生命、身体又は財産が侵害された場合には、設計・施工者
等は、不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買受けていたなど特段の事情がない限り、これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負うというべきである。」(最高裁判所平成19年7月6日判決)とし、「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」とは、居住者等の生命、身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい、建物の瑕疵が、居住者等の生命、身体又は財産に対する現実的な危険をもたらして
いる場合に限らず、当該瑕疵の性質に鑑み、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には、当該瑕疵は、建物としての基本的な安全性を損な瑕疵に該当すると解するのが相当である。」(最高裁判所平成23年7月21日判決)としました。

樋が「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」に該当するかどうか判然としませんが、最高裁判所が「漏水・・・の発生等により建物の利用者の健康や財産が損なわれる危険があるときには、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当する」としていることからすれば本ケースの樋が前記した瑕疵あるものであれば該当する可能性も否定できません。

不法行為による損害賠賠償請求権の請求期限は「損害及び加害者を知った時から3年間」であり、「不法行為の時から20年を超過」していなければ行使できますので(民法724条)、本ケースのように竣工後11年を経過していても、瑕疵による損害の発生を知ったときから3年以内であれば期間制限に引っかかりません。

本ケースでは、前記した瑕疵担保責任は問えそうもありませんので、発注者自身が設計者や施工者に対して不法行為による損害賠償請求を行うかどうかを検討することになります。

その場合は、瑕疵の補修等の請求ではなく、瑕疵のある樋の設置構造の解消と雨漏りによる工事費等を損害として請求することになります。

(続く)